クーリング・オフによる契約解除を通知する
 
買主は契約の申込みの撤回や解除ができる

どんな場合に活用するのか



売買契約の解除は、本来なら相手方に債務不履行があったり、目的物に隠れた瑕疵があったりした場合にしか認められないのですが、クーリング・オフの制度は、消費者保護のために、そうした事由がなくても、買主は契約の申込みの撤回や解除ができるとするものです。
まず、割賦販売業者がその営業所以外の場所で、割賦販売の方法で指定商品を販売する契約の申込みを受けたり、契約を締結した場合には、申込者ないしは購入者は、書面によって申込みの撤回が出来ます。指定商品は政令で定められていますが、一般の人が日常生活で使用するような物はほとんど含まれています。
この場合、割賦販売業者は申込みの撤回や契約解除に伴う損害賠償や違約金の請求をする事は出来ません。さらに、いわゆる訪問販売についても同様です。 ただし、申込者なししは購入者がクーリング・オフをする場合は、契約書などの交付を受けた日から8日以内にしなければなりません。また、商品代全額を支払った場合にも、クーリング・オフは出来ません。
クーリング・オフをする場合には、契約書などの交付を受けた日から8日以内に申込みの撤回又は契約解除の書面を発信する事で効力が生じます。
なお、すでに目的物が申込者ないしは購入者に引き渡されている時は、その引取り又は返還に要する費用は、販売業者が負担しなければなりません。

クーリング・オフを通知する時


実例1


英会話教材を買ってしまったが・・・
会社員の甲さんは、会社帰りに立ち寄った書店の店頭で、英会話教材のキャンペーンをしている女性に声をかけられ、教材の購入を勧められました。以前から英会話が出来るようになりたいと思っていた甲さんは、女性の巧みなセールストークと、「今購入すれば、キャンペーンなので、大幅な値引きに加え、抽選で旅行券があたる」などの宣伝文句につられて、とうとう契約書にサインをしてしまいました。
しかし、帰宅後冷静になって考えてみると、やはり総額40万円もの教材は甲さんにとっては高価過ぎます。しかも、自宅独りで英会話の学習を続けていく事は、どうも甲さんには出きそうもありません。
そこで、契約書をみると、8日以内ならクーリング・オフ出来ると書いてあったので、契約書に記載してあった例にならって、「契約を取りやめる」という趣旨のハガキを書いて,ポストに投稿しました。

クーリング・オフはしてみたものの・・・


ハガキを投稿してから二日後、もう相手に届いているだろうと思って甲さんは教材会社である乙社に何度か電話してみましたが、電話に出た相手は、「担当者がいないのでわかりません。」と繰り返すばかりです。甲さんは、果たしてクーリング・オフされているのかどうか心配になってきました。
ハガキを出してから、すでに三日が経っています。このままでは、高価な英会話教材の代金を支払わなければならなくなりそうです。そこで、甲さんはもう一度内容証明利用して、クーング・オフをしてみました。

内容証明は確実な証明になる。


クーリング・オフは、消費者が締結した契約を取りやめる為の意思表示です。販売業者の巧みな勧誘やその場の雰囲気から、ついつい契約してしまった消費者を保護する為に、もう一度頭を冷やして考えなさいと言うわけです。(COOLINGOFF)と言う訳です。
クーリング・オフの通知は、消費者が契約書をもらった日から数えて八日以内に発信すればよく、相手方に到達する必要はありません。ですから、甲さんとしては、乙社が前記のような対応をしていてもそれほど心配する必要はありません。それでも、クーリング・オフの通知が所定の期間内に確かに発信されている事を証明できるようにしておくには、内容証明郵便を利用しておいた方が良いでしょう。



 
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