ストーカー行為の実態
 

ストーカー行為に警鐘を鳴らす。


●はじめに


予測のつかない行動が執拗に繰り返されて延々継続すると言う被害は、無言電話など少なくない人が経験しています。ストーカー行為は、一方的な思い込みに基づく行為で、拒絶しても何を言っても通用しない所から、被害者はとても苦しめられます。
アメリカの調査によると、ストーカー事件の75〜80%は、かつて親密な関係にあったものによるとされていて、親密な関係にあった場合ほど顛末は悲惨であると報告されています。元の恋人や夫婦、交際を求められた事のある人、職場や学校の顔見知りが加害者である事が多いのです。
こうした執拗な付きまとい行為は、かつては、強要罪、住居侵入罪、脅迫罪、暴行・傷害罪、名誉毀損罪、殺人罪など個々の刑法の規定に当てはめて処罰されてきましたが、平成12年にストーカー行為等の規制等に関する法律(通称ストーカー規制法)が施行されました。これによりストーカー行為と言う一つの概念が確立されたと言っても良いでしょう。
この法律で言うストーカー行為とは、「付きまとい等」を同一の人に対して反復してする事を言うとされ、「付きまとい等」とは、特定のものに対する恋愛感情や行為、又それが満たされなかった事による怨恨の感情を充足する目的で、特定の者又はその配偶者その他社会生活において密接な関係をもつ人達に対して行う以下の行為であるとされています。
@付きまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、見張ったり、住居押しかけたりする事
Aその行動を監視していると思わせるようなことを告げ、又はその知りうる状態に置くこと
B面会、交際その他義務のないことを要求する事
C著しく粗野又は乱暴な言動をする事
D無言電話や拒否されたのに連続して電話をかけたりFAXを送信する事
E汚物や動物の死体など著しい不快感又は嫌悪感を抱かせるようなものを送りつけたり、知りうる状態に置くこと
F名誉を害する事項を告げたり、その知りうる状態に置くこと
G性的羞恥心を害する事項を告げもしくはその知りうる状態に置いたり、性的羞恥心を害する文書、画面その他のものを送付したり、もしくはその知りうる状態に置くこと
この定義によると、恋愛感情や行為、怨恨と言った目的が用件になっていますが、その目的は、ファン・ストーカーのような一方的思い込みによるものも少なくない事から、被害者を救済し、保護する為には、客観的な行為の形態に従って判断する必要があります。決して「行為や怨恨によるものではない」と言い訳しても逃れられないと言うべきです。
ストーカー行為など規制法では、「何人も、付きまとい等をして、その相手方に身体の安全、住居などの平穏もしくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならない。」として、ストーカー行為を禁止し、行為を行ったものは、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。刑事罰としては軽いと言う批判はもっともですが、それでも、あなたが行っている行為は法律で処罰されるストーカー行為であると言う警告の効果はあります。 そして、公権力が介入して被害者を保護する為に、警視総監や警察所長は、ストーカー行為が繰り返されるおそれがあるときには、被害者からの申立によってさらにストーカー行為を反復しないような警告を発し、警告にもかかわらずストーカー行為を働いた加害者に対しては、公安委員会が禁止命令を発します。この禁止命令では、さらにストーカー行為を繰り返さないこと、反復してストーカー行為が行われる事を防止する為に必要な事項が命じられます。
また、ストーカー行為が繰り返されるおそれがあり、申し出た被害者の身体の安全、住居などの平穏もしくは名誉が害され、行動の自由が著しく害される事を防止する為緊急の必要があると認めるときは、加害者に対する告知聴聞の手続きによる弁明の機会を与えない度かりの命令を発する事が出来ます。
これらの禁止などの命令に違反してストーカー行為を繰り返したものには、1年以下の懲役又は、100万円以下の罰金が加えられます。
ストーカー行為によって被害者は疲労や無力感、自責の念に襲われ、神経を擦り減らした結果として抑うつ状態や自殺に追いやられるケースもあります。こうした被害にあった人たちのダメージは「複雑性PTSD」として捉らえられるようになっており、とても深刻です。こうした加害行為は、相手を人間としてではなく、自分の思い通りになるモノとして支配し、それ自体を目的化することから生み出されます。共感性の著しい欠如よって相手の痛みがわからない行為、傷つけることに躊躇はないことも特徴です。
そこで、ストーカー加害者にはまず明白に拒絶の意思表示をする事が絶対必要です。同時に、相手を無視する事、かかわり合うような受け答えは絶対禁物です。 ですから、拒絶の意思表示を内容証明で送る場合には、少なくとも自分のことをあれこれ弁明したり、相手のことを思いやるような曖昧な内容では返って付け込まれてしまいます。 先ほどにも述べましたが内容証明を送る場合には、相手への明確な拒絶と、相手を無視する姿勢が必要です。 そうした点では、内容証明を被害者個人の名前で出すことも避けたほうが良いかもしれません。我々の様な行政書士等の専門家に相談し作成してもらうと良いと思われます。
また昨今では色々な相談窓口が設置されましたので、そちらの方にも相談されるのも良い方法ではないでしょうか。
尚、内容証明を出しても一向にストーカー行為が止まず、ストーカー行為がエスカレートしてきたら、早めに警察に相談した方が良いでしょう。
そういうストーカーはすでに初期段階の自覚(自分はストーカーだとは思っていません。)が消えて妄想に入ってしまっていて危険な状態です。

警察庁 - ストーカー規制法の制定について

警視庁相談窓口

岩手県警察ストーカー対策室

正式に依頼される方は こちらから


 
サイト内のすべての画像・記事・文章等に関して、無断引用・無断転載は固くお断りします。
〒366-0005埼玉県深谷市町田357048-587-1505
新井行政法務事務所 (オフィシャルホームページ)
Copyright (c) 2003-2005, by koji arai. All Rights Reserved.